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[コメント] 007 カジノ・ロワイヤル(2006/米=英=チェコ)

アクション映画としては一級品。だけどタイトルは「008」とか「009」にして欲しかったような・・・
sawa:38

過去の全シリーズを通じて私はファンである。ただその道のりは平坦でなく、ロジャー・ムーアの後半辺りから雲行きが怪しくなったのは否めない。なにしろ宇宙まで行っちゃったんだからね。そんなシリーズもその時代時代に合わせて方向性を修正しつつ本作にまで辿り着いたのだ。感慨は深い。

私はジョージ・レーゼンビーの『女王陛下の007』が「異色作」という事で大のお気に入りでした。お茶目な要素を出し切れずに憂いを湛えたジェームズ・ボンド。本作の制作姿勢もそれに近いものがあるだろう。だから本作には期待したのです。惨憺たる評価があるかも知れないが、私だけでも支持したいと・・・・・・

そして鑑賞。上記の意味では私的には大成功だったと思います。ただね・・何かあまりにもコレは違うシリーズなんじゃないのかと思うんですよ。

殺人をゲームのように面白可笑しく描写してきた過去のシリーズには、冷静に考えて不道徳過ぎる面があった。それにちょっとばかし引いてしまう所があるのも事実だったんだけど、ここまでリアルに「殺人」を描いてしまうのはどうなのだろう。返り血を浴びて血まみれのジェームズ・ボンドってのはアリなんだろうか?

そして最大の違和感というか欠如していたのが、「ユーモア」と「粋」。私の知っているボンドは拷問の最中とはいえ、「キン○マが痒い」なんて台詞は絶対言わなかった筈なんだよなぁ。「世界中の女たちから復讐されるぞ」みたいな類の台詞を吐いて欲しかったんですよ。

繰り返して言うが、「ジェームズ・ボンド」ってのはもう記号になっちゃてるんだよね。チョイ悪親爺じゃないが、「ボンド=粋な遊び人」っていうイメージを少なくとも私はそう思っています。

危険な任務も余裕でこなす。いや、髪振り乱して闘ったりしても最後はネクタイの形を整えたりして余裕をかましてみたりする。それが「ボンド」。だけども今回のボンドは必死で闘っていましたね。マジで傷の手当てしてたりするんですよね。これはリアルだよなぁ。

スパイダーマンが敗れたコスチュームを繕ったりするシーンに「リアル」を感じて嬉しくなっちゃたりするんだけど、「ボンド」の(ここまでの)リアルは観たくなかった。『女王陛下の007』のリアルさが好きだなんて言っておきながら、こんな事言うのも矛盾なんですが、ここまで見せる必要があったのか疑問にも感じてしまうのです。

007シリーズの番外編であるというならば本作は絶対に★4はつける。だが、そうでないなら本作はアクション映画としては一級品。どうしても007シリーズにしたかったのなら『008』とか『009』を主人公としてスピンオフ作品として撮ってもよかったんじゃないだろうか?

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (9 人)YO--CHAN O-Maru 佐保家 はしぼそがらす[*] ノビ[*] ジェリー[*] worianne[*] たわば[*] おーい粗茶[*]

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