どっちにしろ、金儲けを狙ったエンタテインメントなんだから、べつにどうってことないんだと思うことができればいいんだけど、全体、歴史的に正しくないんだもの、気持ちが悪くて。 もしかして、この時代の尊皇攘夷派のことがこんな風に誤解されているのだろうか。「サムライって、よその国の人には、こんなふうに見られているのか．．．」なんて、ぼんやり考えてる場合じゃない。 だいたいサムライは、将軍に仕え、与えられた領地を治める一国一城の主だったのだから。「日本」とか「天皇」って言い出したのは近代以降のはなしでしょ。 外国人だからって、よその国の歴史を歪曲するにもほどがあるなあ。

連射式の前で、蜂の巣になっていくカツモトをみていると、彼とはこれっぽっちも関係ないのだけれど、「自由」か「死」か、のどちらかしかなしに農民一揆に散った名もない農民戦士たちのこと浮かんできて、胸が熱くなった。 いや、それにしたって、農民一揆だって火縄銃くらいは使ってたはずだろうと、やっぱり突っ込みたくなるのだった。

最後に、オルグレン．．。彼も、なんだか可哀相な人だったな。彼の悪夢は、きまって同じ。インディアン狩で、女・年寄り・子どもを虐殺した罪悪感から。名誉と、良心のあいだで、彼の魂は引き裂かれてる。なぜか、かなり潔いカツモトに、彼が惹かれたのもうなずけるというもの。

娯楽性は悪くないのに、設定がまるでだめ。寒気がした。それに何というか、あの終わり方。 「そういえば、こんな果敢な人たちもいた．．．だけど結局は生き残ったものの勝ちだ」といわんばかり。ああそうですか。なんだか、年季のはいったイヤミを言われたときのような気分。