実はあらかじめ仕組まれたシナリオ、壮大なる予定調和の檻の中、というのがこの人の世界観なんだろうか。それは『ＣＵＢＥ』では「見えざる手」みたいなものであり、本作では「自らの手」であったり。ある意味その予定調和自体が大いなる不条理、みたいな視点は独特。

ただわざとだかどうだか分からないけど、人間の描き方に面白みがないなぁ、と思ったのは前作以上かもしれない。話が複雑な展開をしつつも、妙にアクが抜きされたようなアッサリした後味は、無機質な映像美(というよりはデザインセンス)や冷めた視点以上に、一人一人がほとんどキャラ立ちしきれてない、というのが大きい気がする。そういった魅力をあえて排してまで無機質に徹するには、この程度の話では弱い気がする。ともあれ、もっといい意味でのハッタリがあっても良いかと思う。

個人的には、ヘリの離陸の仕方の質感が不思議で面白かった。

(2004/11/2)