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[コメント] カンナさん大成功です!(2006/韓国)

5点でもよかったんだけど、もうすこし「アミ」の使い方を工夫きれば、もっと良かったと思うから。(以下、『ヘアスプレー』のネタバレも若干含みます)
プロキオン14

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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ある意味『ヘアスプレー』と同テーマだし、対極でもある本作。終盤の「泣きの力わざ」には胸揺り動かされる。やっぱ熱いよ韓国映画。

ヘアスプレー』は、おデブな女の子がそれを気にせず、得意のダンスと超ポジティブな性格で、偏見や「人種差別問題」もぶっ飛ばすのなら、『カンナさん』は、歌は得意だけど、おデブでネガティブな女の子が、死ぬ気で全身整形をして生まれかわり、仕事や恋もGETするも、同時にいろんな大切なものも失い、「整形への偏見・賛否」に怯え、本当の自分を見失ってゆく。やっぱり同系列かつ対極。対極だけれども、「人間の底ぢから」を感じた2本、どっちも大好きな映画になりました。

出来るなら、もう少し「歌自体」への想いを表現して欲しかった。「あなたの為に歌いたい」ってのは好きだけど、「歌う自分を好き」であって欲しい。そういう意味では、最後の「自分の為にうたえ!」という場面は素敵だと思う。もっともっと歌うシーンを多くして欲しいとは思うけど。

工夫が欲しいのは「アミ」の使い方。最初はタカビーで、カンナさんのことを侮辱するが、そのせいでカンナが失踪して、自分自身が表舞台に立つことが出来なくなり、辛酸を味わう彼女。突然現れた「ジェニー」という女にすっかりその座を奪われ、カンナの父親の所に張り付くが、偶然にもジェニーがカンナであると気づく彼女。さてそこからが問題。

果たしてジェニーを失脚させてもアミは表舞台に戻れるのか?ジェニーに「整形」という秘密があるのと同様に、アミにも「影武者」というバレてはいけない秘密がある。ジェニーの破滅=アミの破滅になりはしないだろうか?。そのためには「カンナなしでも、大成功です」という道を探すのが先だと思う。「第二の影武者オーディション」もそのためだったが、どちらかといえば、アミにも「死ぬ気で」頑張ってもらい、「自分の声で」歌って欲しい。そんなシーンが少しだけあったが、それは「アミが真相に気づく」伏線としてだけのものであって、彼女自身の葛藤とか、努力だとかいうものではなかった。そこでカンナの父の「助言」が活きてくるんだと思うけど。その言葉にアミも「めざめる」とおもうんだけど。

クライマックスの告白は感動的だったけど、もう一つ同時に「アミの告白」もあり、頑張った彼女自身の復活の「歌声」、それはかつてのものとは大きく異なるが、新しい魅力として映るようなものだとか、そういうポイントもあってもよかったかも。

・・・と、アミの目線で捉えてみると、もう少し話が膨らませることが出来るが、やはり主人公が話の中心なので、仕方ないのか。(長くなってしまうしね)。ならせめて『ヘアスプレー』の敵役のアンバーは最後に負けを認めたように、アミにも、ただ悪役としてだけでなく、そんな台詞の一つも欲しい。

エンドロールでの「日本語の歌」。おっ、日本語で一生懸命頑張って歌ってるね!って感心していたら、歌っているのは梨花だった。日本人じゃん。その割には滑舌が悪いよ。

(評価:★4)

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