[コメント] まあだだよ(1993/日)
これが遺作となった事に哀しさを覚える。土砂降りの雨も照りつける太陽もない。色遊びのような絵画的シーンもない。
つまり何も残っていないじゃないか。
『どですかでん』以降、娯楽を放棄したような黒澤映画でも、日本映画を世界のヒノキ舞台に押し上げてくれた監督の作品とあれば、それ相応の観客が劇場に足を運び、作品に隠されたメッセージを嗅ぎ取ろうと努力をした。
全くもって尊大で、勘違いをした監督ではあったが、それを責めるのはタブーとされた。映画関係者はもちろん観客でさえも。
そして作品の偉大さが分からないのは、観客である我々が勉強不足であるからだという結果に帰結し、それを認めたがらない者は逆に黒澤アートを必要以上に絶賛する事で「アチラ側」に渡ったのだ。
しかし、これは幾らなんでも酷すぎる。
きっとどこかに芸術性があるのではと、神経を研ぎ澄まして再び見なおしてみたのだが、私のような凡人には皆目探し出す事が出来なかった。
これが遺作となった事に哀しさを覚える。こんな作品を見せられた後でも、私の最も敬愛する映画監督として常に黒澤明の名が残る。もう20数年にわたり黒澤のファンとして映画を見てきた者として、これが遺作というのは残念である。
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