コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(2020/日)

ハサウェイ何者?
ぱーこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







よる年波に勝てずあらゆる作品は事実確認と願望充足である、というあらっぽい分類で納得しよう、と思っている今日このごろ、ガンダムである。アニメのキャラクターに自己投影して事実確認と願望充足している中年男がごまんといるのが現在日本らしい。シンエヴァンゲリオンといい、この作品といい、絶賛の嵐を見ていると一体どうなっているのか、と思って劇場へ足を運ぶことになった。

このハサウェイ、冒頭ハイジャック事件でケネス大佐なる軍人とテロ事件を制圧、乗客の中にいるギギなる謎の女と三角関係にあるようなのだ。以後、この三角関係の描写が地球の上で続くことになる。テロ事件を起こしたのは反体制の組織であるが、この組織の首謀者がハサウェイなのだ。えっ、と思うがこのハイジャックテロを起こしたのは、ハサウエェイの組織の名を語る偽物なのだった。ハサウェイはいい者なの?わる者なの?ケネス大佐もやたらとかっこいいが、こいつは体制擁護のいい者なの?わる者なの?これはいったいどういう現状認識と願望充足のアニメなんだ?

銀河英雄伝説というアニメがある。VHSテープで全巻持っていた。ここでは帝国と民主同盟の2大国家が宇宙を舞台にそれぞれの理念を背負って戦うという壮大な話だ。どちらの登場人物もそれぞれかっこよくキャラクターの描きわけも周到で中国の戦記ものような描き方である。そういうジャンルの話なのか。それにしては話の進行がせこい。中年ケネスに対する青年(少年?)ハサウェイという描き方なんだ。他に登場人物は捕虜交換みたいな描き方をされている男がいる。これは多分ガンダムのこの前の因縁話らしい。

インターネットTVという便利なものが登場して、もうVHSテープやレーザーディスクなる逸物なくても昔の話を見ることができる。ガンダム第一作の主人公はアムロなる少年でこいつが新人類で戦闘能力が異常にすぐれているわりにはヘタレなキャラクターなのだった。そのライバルにシャアなる少年がいてこいつと因縁話が持ち上がるらしい。この人間関係が現状認識なのか。矢吹丈と力石徹が金持ちの娘葉子さんをめぐって繰り広げるドラマならわかる。これは1960年代後半の話だ。ガンダムはそれからほぼ十年過ぎた1980年代以降の話だ。このころ私は30代で明日のジョーみたいに身を入れてマンガーアニメに打ち込めなかった。ヤマトよりは男おいどんの世代なのだ。ガンダムはよくわからん。それでも、アムロ行きます!なんて決めゼリフをいう現実の人間は目にしている世代でもある。そのうち、決めゼリフはなんでボクなんだとつぶやくシンジ少年になるのだが、こいつもヘタレキャラだった。それは高校生の娘が見ているアニメだった。

話がそれた。この話の続きがこのハサウェイらしい。この閃光のハサウェイでは最後に宇宙空間の戦闘シーンがある。ガンダムロボット戦記物と思っているずさんな認識の私にはこの戦闘がちっともかっこよくない。敵のモバイルスーツもトゲトゲの使徒みたいなやつでしかも暗くて速くてよく見えない。あっという間に終わって、この話の続きはこの後でという紹介編らしい。ほとんど40年ぶりの因縁話の回収も分からず、戦いの理念も分からず、そのくせ描写の質は極上で技術の使いみちがよくわからん映画だった。最近は人の話に着いていくのが主な目的の映画鑑賞が増えてきたが、このガンダムの新作も私にとってはその流れのいち作品なのか。身を入れて感動する映画経験をしてみたいものだ。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (4 人)Orpheus るぱぱ[*] サイモン64[*] ペンクロフ[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。