コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] アクトレス 〜女たちの舞台〜(2014/仏=伊=スイス)

J・ビノシュとC・G・モレッツという現実の「女性」性を力点として、その仮託物語であるマリアとジョアンナを支点に用い、劇中劇のヘレナとシグリッドという創作上の「女性」性を作用させる三重構造の戯れ。それは観客がこの2人の関係性に同化することを拒絶する。
ぽんしゅう

そして三重構造の錯綜に巻き込まれつつ、蚊帳の外で傍観を強いられる秘書クリステン・スチュワートの立ち位置を、我々観客の目線とダブルらせるオリヴィエ・アサイヤスの芸の細かさ。さらに、すでに若き日の残滓すらないことを直視させらてたマリアの虚空を見つめる「視線の無情」を演じるジュリエット・ビノシュの余裕。きっとこの作品を一番楽しんでいるのは、ビノシュ、モレッツ、そしてアサイヤスの3人だ。

その三重構造へ物語を誘う、山岳映画の名手アーノルド・ファンクの手になるというモノクロ映像の雲海(本作の原題はClouds of Sils Maria)の呪術的な不穏さは圧巻。

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)ペペロンチーノ[*] 水那岐[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。