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[コメント] 恋しくて(2007/日)

ナビィの恋』の老女ナビィ、『ホテル・ハイビスカス』の小学生美恵子、そして本作の高校生加那子(山入端佳美)。洗練という形容から最も遠い映画である中江ワールドを支えるのは、今回もまた既成の型にはまらない不思議なチャーミングさをふりまく女性だ。
ぽんしゅう

明るく元気、無邪気、ボーイッシュ、中性的。中江裕司が作り出す女性キャラクターには、どの形容もあてはまらない。確かに舞台となる南の島の空気感が影響していることは間違いないだろう。しかし、彼女たちの魅力を「沖縄の女性だからだ」と言い切ってしまうのもいささか乱暴すぎるような気がする。いまだに、彼女たちを上手く語る言葉を見つけられないでいる。それほど不思議で魅力的なのだ。

中江が登場する以前の日本映画で沖縄は、島の作家による抑圧者の叫びとして描かれるか、本土の作家の告発や反省を含んだ感傷によって描かれ続けてきた。つまり感情の映画だった。中江裕司は、琉球から沖縄へと流れ続けてきた時間、さらにその風土と文化が育んできた人々がただ好きなだけなのだと思う。だから彼の映画は、愛情の映画なのだ。中江は大好きな沖縄の中に、自分の理想の女性像を投影し続けているのかも知れない。

いつもながら音楽が楽しかった。現役の高校生バンドが好い。「ふとももファイブ」(でしたっけ?)の歌と演奏に思わず涙がこぼれそうになったことを告白しておきます。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)水那岐[*] パッチ[*] 林田乃丞[*]

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