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[コメント] 悲情城市(1989/台湾)

兵士として戦地から帰還することなく、反乱分子として政府から弾圧され、ヤクザ者として利権対立の中で、障害者として負い目をいだき、家長として一家存続の危機の中、傷つき、果て続ける男たち。ここで描かれる敗北し続ける男たちとは正に台湾そのものなのだ。
ぽんしゅう

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







しかし、この物語は45年の日本の敗戦を告げる玉音放送が流れる中で産声を上げる文雄(チェン・ソンユン)の男児誕生で始まり、49年の国民党による台北への臨時首都設置と時期を同じくして生を受けた文清(トニー・レオン)の男児誕生で幕を閉じる。

傷つき敗北し続けながらも、力強く次の世代へと受け継がれる営みの系譜。これこそが、台湾という祖国のみならず、連綿と続く人の未来の可能性に託したホウ・シャオシエンの希望の道なのだろう。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)sawa:38[*] けにろん[*]

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