[コメント] スクール・オブ・ロック(2003/米=独)
まあ、みごとなぐらい予定調和的定型コメディですね。悪くない。けっこう笑わせてもらいました。でも見る人が、学校でロックを教えるって発想を何の抵抗もなく受け入れられるっていうことは、ロックも権威(大物)のひとつだってことですね。
音楽もファッションもみんなそうですが、ひとつの定型化された権威的スタイルというものがあって、それに反発して新しいカタチが自然発生的に生まれるもので、それが風俗です。
風俗(フーゾクじゃないですよ)は権威に対する不満(=弱者)を媒介にして伝わりますから、流布しだすとものすごいスピードで伝染し始めます。少数派である分、パワーが強いんです。
新しくてパワーが強いものは、当然のごとく奇異ですから目立ちます。目立つものは金儲けに使えますから、風俗は商業システムの中に組み込まれていきます。そして、大衆の中に広く浸透していく一方、先端部分はより洗練されスマートになっていきます。
スマートなものには、これまた当然のごとく皆(大衆)は憧れます。皆が憧れるものは金儲けに使えますから、学校や講座や教則本として体系化されていきます。そして、体系化されたものは権威としてひとつの文化を構成するパーツになります。
音楽やファッション、その他あらゆるカルチャー(文化)にはスクールが存在します。何故なら文化(権威の固まり)には、もはや風俗のように自力で伝染する力がないからです。そして、退屈な文化に反発するように、あるいは権威からはじかれたモノの中に次の風俗が生まれます。
大雑把に言えばロックは、60年代が風俗、70年代が大衆化、80年代以降が文化といった感じで変遷してきました。どの時期に、ロックを体験をしたかによってこの映画の受け止め方は、かなり違ってくるでしょうね。
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