[コメント] アビエイター(2004/米=日=独)
3時間弱かけて、ハワード・ヒューズという人の履歴書だけを見せられた感じ。面接の場も設けろ!
極度の潔癖症で、アルコールは口にせず、プレイボーイで、孤独で、そして何より空を飛ぶことが大好きというハワードの人となりは分かりましたが、行動によって生み出される結果のみが示されるだけ。どうして彼がそういう行動に走るのかの根本が見えません。
あまりにも青年期以降の描写に比重を置きすぎて、彼の行く道を決定付けたと思われる少年期の描写があの一瞬ではバランスが悪すぎます。あのしょっちゅう登場する石鹸で、母との関係が何がしかの形で遮断されてしまったというのは推測できますけど、もうちょっと彼の人格を理解できるヒントをいただきたかった。
同じ大富豪の孤独というテーマを扱った作品だったら、オーソン・ウェルズの『市民ケーン』の方が描き方のバランスがずっと優れています。
自分が持ち込んだ企画だけあってディカプリオは大熱演だし(もうちょい線の太さが欲しかったが)、特にごつごつしたキャサリン・ヘップバーンを演じたケイト・ブランシェットも素晴らしい。美術も衣装も完璧なのに、スコセッシの演出&脚本が雑な出来で、なんとも残念な一本。
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