コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 獄門島(1977/日)

たくさん邦画を観た後で再見したらキャスティングの豪華さにド肝抜かれた。三馬鹿姉妹に対する演出はお宝的可笑しさはあるが映画的には遣り過ぎだと思う。パッ、パッと目まぐるしいカッティングと<能>ファンキーな音楽がサスペンスを盛り上げます。(『悪魔の手毬唄』のネタバレを含む)
町田

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







角川文庫版の中島河太郎氏の後書きによれば、かの江戸川乱歩は本作『獄門島』を読み半ば絶賛しながらも「諸人物の性格と島の部落の雰囲気の描写によりトリックの合理化が巧みなし遂げられてはいるが、そのため無理がいって動機の必然化まで手が届かなかった」と欠点を指摘したという。

今回の脚色、二件目、三件目の犯人を司葉子演じる勝乃に変更したのは、こうした偉人の批評と、更に前作『悪魔の手毬唄』に於ける岸恵子の名演技、それに対する好評を踏まえた、実に意欲的な試みであったと思う。

長篇サスペンスの真犯人が先代網本の意志を次いだ三老人、じゃぁ興行的成功は望めないだろう。原作に、隠された母子の想い、愛する恩人への報恩を加えたことは映画製作者としては一応正しい判断であると思われる。お陰でアリバイ工作とか、そういう本格的な部分は無茶苦茶になっちまったけれど。

(邦画黄金期を支えた名優達に交じって独特の存在感を発していたのが清水巡査役の上條恒彦。どこかで聞いたことのある声、とおもっていたら宮崎駿アニメの常連声優でもあるらしい。本業はフォークバンド「六文銭」のメンバー、つまり歌手で、市川崑監督が手掛けたTVシリーズ『木枯らし紋次郎』の主題歌も歌っていたとのこと。ちょっと興味を持ってしまった。)

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (3 人)IN4MATION[*] トシ[*] ぽんしゅう[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。