本番ではないから勿論マイケルの「Max」ではない。その記録を観せる事への可否と、示された(リハーサル)パフォーマンスへの好悪で作品の評価が分かれている。後者では観客がどの位を期待(要求)していたのかにもよるのだろう。

…のだろうけど、50歳の彼にとってはとぎれとぎれでやるリハーサルの方が、自由でリラックスした表現と観賞に耐える動きが出来ていたのではないか、と観賞中俺は思っていた(勿論アレをブッ通しでやる本番には、プラスとして「本気」マイナスとして「体力の限界」が加わり、その結果は全然別の佳さが生じる訳だが)。

俺には俗にいう「メイキング」の枠を遥かに超えていて、始めからコレ一本でも売る心算だったんじゃねぇかと思わせた。マイケルのパフォーマンスだけでそう思わされているのかも知れないが。関係者のインタビューでツギハギ補完した「よくあるメイキング」を予想していたので、ライヴさながらの展開には驚いた。メイキングと言い乍ら、と言うより、「観客と共に創るライヴ」という感じだ。

俺がマイケルを(ファンではないが)凄いと認めてきたのは、只管彼が「何だかんだ言ってもメチャメチャ歌が上手」く、「何だかんだ言ってもメチャメチャ踊りがキマッて」いて、「音楽センスが抜群」だったからだ。それはこの映画のバックダンサー達(勿論、ダンス自体は若い人の方が動く)と較べても判るし、この映画で50歳を迎えて尚驚異的な能力を維持しているのだと知った。

（マイケルのファンが観てこの映画は外に出してはいけないものだと憤るのは解る。俺なんぞはマイケルをちゃんと理解してないから逆にこの映画を愉しめたのかも知れない）

所詮PV、所詮メイキング、しかし他のパフォーマーのPVとは違った。だから、俺は☆3.9点。彼が死んでなければ観なかっただろう事、もっと低い点位になったかも知れない事は認める。それでも今回オレンジ点で評価したのは「観て佳かったから」と言うしか無い。

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(蛇足)　ネズミーランドの隣りにある映画館。公開４週目作品の平日最終上映(21時半頃〜)で客席中央部が埋まるのを初めて見たが、終映後 客層に似合わぬ自然な拍手が湧いたのにも驚いた。