盛り込みすぎですかね。前半は、それぞれの立場での男たちの生き様のぶつけあいが見ごたえあるのだが、ちょっと盛り上がるとすぐに次の人にバトン渡されちゃう。珍しくこれは原作を読んでいたのでDVD見たんだけど、原作知らなきゃわけわかんないと思う。後半の謎解きは予定調和だし泣かせがミエミエ。それでもウルウルしたけど。だが尊厳死と骨髄移植ドナーのプライバシー保持という二つの大きな問題に踏み込んで消化不良。

役者の盛り沢山は楽しかった。いつも一本調子な伊原剛志が意外にハマっていて良かったり、いつもと違ってかなりキャラ抑えた西田敏行がやっぱり唸ってしまううまさだったり。

悶絶したのは裁判官で、裁判長が本田博太郎。左陪席裁判官で主任兼判決文の起案もするのが吉岡秀隆。本田は物静かな常識人の役のはずだが、いつも偏執狂的犯罪者やってるあの口調が消せない。方や吉岡も北の国からの純そのままの佇まい。二人がマントみたいな法服着て着席した画だけで身震いしてしまうほど「ものすごい配役」だ。

梶容疑者の妻はアルツハイマーを患って自分の息子の死を忘れてしまうのだが、僕も原作の小説が出たとき林真理子がケチつけて横山秀夫と論争になったその内容をもう思い出せない。当時は横山氏が正しいと思ったんだけど、何だっけ？