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[コメント] クローバーフィールド HAKAISHA(2008/米)

哀しみのデートムービー
uyo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







話が全然変わるんですけど、トウキョウのど真ん中に「TOKYO DOME CITY」と言う場所があります。かつて「後楽園ゆうえんち」と呼ばれ、「レッドと握手できる」あそこです。そこで数年前に、年甲斐もなく何人かで遊んだ時、楽しくかわいい「メリーゴーランド」に乗り、降りたとたんに、すぐ目の前に「ホラーハウス」の入り口があることに気がつきました。「ホラーハウス」は、不自然なほどに遊園地の外れにぽつん、と位置していました。

「これはもしかして、デートで彼女をメリーゴーランドに乗せたあと、自然にホラーハウスに連れて行くための策略の配置かしら」と勝手に想像しました。機会がありましたらどうぞご利用ください。と、言うようなことを、この映画の前半をキャーキャー怖がりながら観たあとに、ふと思い出したのです。私自身ホラーは苦手なので、積極的に観るタイプではないのですが、この映画がこんな風に「怖がらせる」タイプの映画だとはついぞ知らなかったので、「学生以上結婚未満」の人達の、DVDデートに意外と向いている作品なのではないかと感じたのです。露骨なラブロマンスは、照れくさいし、男子はリチャード・ギアなんか観ていてもつまらないし、本格的モンスター映画は女子が耐えられないし。でも、この作品は実は根っこは「悲恋」なので、「あたしがこんな目に遭っても、救けに来てくれる?」「もちろんだよ」「……」と言う、傍からはちゃんちゃらな会話+αだって成立する要素があるかと思います。

でも、それこそが、日本人にとっての怪獣映画としては致命的なズレ、だとも感じます。「怪獣映画は硬派な世界なんだ」と、詳しくないながらも私にだって本能的にわかっているのです。確かにかつて一度、デートで怪獣映画を観に行ってしまったことはありました。でも、その男子を責めないでやってください。なぜなら、彼は当然「二回目の鑑賞」だったからです。

ゴジラ』のネタバレあり↓

イラク戦争による、アメリカ人兵士の戦死者数は、とうにベトナム戦争のそれを越えています。ゴジラが「すでに終わった戦争」を題材に、復興の手段を「科学」に求めたのとは裏腹に、この映画はアメリカの「学生以上結婚未満」の若者たちにとって、「いまだ終わらない戦争とテロ」が題材であり、「いつ友や、兄が、そして自分が、明日死に、恋人や家族と別れるかもわからない」と言う絶望が、色濃く現れていると感じました。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)サイモン64[*] ぽんしゅう[*]

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