それでも、あの時あの恋人が死ななかったらとか、あの時あの幼なじみと連絡が途絶えなかったらとか、あの時ジェイルでコカの彼と出会わなかったらとか、あの時ママが通報しなかったらとか、あの時あの銀行がパナマの政変に巻き込まれなかったらとか。

自分の意志というよりも周りの人々や時代にふりまわされてどんどんダメになっていく、そんな可哀想な遅れてきた青年。という印象。

いずれにせよ、最後の最後にホンモノの写真が出てきたことで、冒頭に登場する「これは実話です。」といったふうな断り書きの意味が突然リアルになった。「そうか、この男の人は（本当に）今でもどこかの刑務所で娘が訪ねて来るのを待ってるのね。」と。 それを考えると、なんだか途方もない孤独を感じた。

個人的には初めてだったその「実物写真オチ」に、プラス1点。