魔女伝説にとらわれた時代の犠牲になった女。その子どもが大人になり、何の因果かホンモノの魔女（彼女もまた、そんな時代の犠牲者である）と対決することになる。

また、その対決の過程で、彼に恋する薄幸な少女の白魔術により、何度か危機を免れることにさえなる。

その気持ちを考えると、彼が科学一辺倒から徐々にオカルト認知へ傾倒していく気持ちの流れも、理解できなくはない。否定することで自らを保っていた心情もわかるし、信じないことには逆にトラウマから解放されることもできなかっただろう、ということも想像に難くはないから。

忘却の彼方に押しやっていたはずの記憶を蘇らせてしまった以上、闘ったり前進したりするためには、もうそうするしかなかっただろうから。

「真実は錯覚かもしれない。」

そう、科学により何もかもが解明されるという「真実」こそが、おおいなる錯覚だったのかもしれないのだ…。　

山場のひとつに「フランケンシュタイン」へのオマージュがある、というのも実に心を躍らせる。徹底的に彩度を押さえた美しい映像と、半端じゃない白塗りメークの魔法は言うまでもなく。