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[コメント] めぐりあう時間たち(2002/米)

先に読んだ原作のイメージのせいかも知れないが、この演出は状況を“先取り”しすぎのように感じた。(Reviewは原作との比較)[新所沢Let'sシネパーク・イエロースポット]
Yasu

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







例えばローラが近所の小母さんに息子・リッチーを預けるシーンで、置いていかれるリッチーが「ママー!」と叫ぶ。これは原作にはない。原作ではリッチーは預けられる時はおとなしくしていたが、ホテルから戻ってきたローラがリッチーを引き取ると、彼は「ずっと泣いていたような顔をしていた」(うろ覚え)。引き取る時になって初めて彼の状況が分かることで、預けられる時から分かっているよりも、母親に置いていかれたリッチーの悲しみがさらに伝わるようになっていた。

そのリッチーは成長してリチャード・ブラウンという高名な作家になるわけだが、そのリチャードは受賞記念パーティの直前に飛び降り自殺する。このシーン、原作ではクラリッサがリチャードの部屋に入ると、彼は窓に腰掛けていて、そこから降りてちょうだいと言うクラリッサとしばらく会話をする。この会話がしばらく続き、読者の緊張が少し緩んだ時、突然前触れなしに彼の体が窓の下へ落ちる、という描写であった。このようにワンテンポ置くことによって、いざ飛び降りた、という時により一層劇的な効果をあげていたように思う。

しかし映画では、彼は最初に「行かせてくれ」とクラリッサに言葉をかける。これによってクラリッサのみならず観客の我々にも、彼はこれから何をするつもりなのか分かってしまい、劇的効果は半減するのだ。他の部分はおしなべて良いだけに、かえってこれらの勇み足が惜しまれる。

まあ小説と映画を比べること自体意味のないことかも知れないし、多分に好みも入ってくることでもあろうが、それでも言いたい。

「オレの想像力の勝ち!」((C)ボイス母様)

(評価:★3)

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