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[コメント] まあだだよ(1993/日)

百間先生という人物は、実は黒澤監督自身の投影だったのかも知れない。[Video]
Yasu

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







若い頃あれほど情熱に駆られた作品を作り続けてきた黒澤明も、この映画ではすっかり好々爺だ。盛り上がるわけでもなくやけに淡々と進むストーリー、前面に出てこないテーマ、人畜無害な登場人物。黒澤作品とも思えない。いや、はっきり言えば、あまり面白くない。

もしかすると、この作品が自分の遺作になることを知ってか知らずか、黒澤はもはや自分自身で表現することを止め、次の世代に引き継ぎをするつもりだったのではなかろうか。

それは、ラスト近くの17回摩阿陀会のシーンで、先生が子どもたちに「自分の好きなことを見つけてください」と語りかけるところに表れている。黒澤は、百間先生という人物を借りて自分自身の仕事にピリオドを打ち、次世代の映画監督たちに「後は君たちの好きなようにやりたまえ」とバトンタッチしたかったのだろう。

それにしても、果たして百間先生(=黒澤)から学んだはずの教え子たち(=現在の日本映画界)が、これから先どれだけ発展するだろうか。それが問題だ。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)ナム太郎[*] ボイス母[*] sawa:38[*]

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