こんな作品で原作との比較をするのもあまり意味がないとは分かっているが、それでも気になった点を一つだけ。

ジュール・ヴェルヌによる原作は、どこを読んでいても「現在○日目、残りあと○日」というカッチリした計算が働いていて、読んでいるほうも途中で起こる出来事を楽しみつつ「おい、大丈夫か、間に合うのか…？」とハラハラドキドキしていたものだ。一方この作品では、中国でわざわざ寄り道をしたりアメリカで文無しになったりして、旅をしている3人が時間を大事にしている様子がうかがえない。「このままでは間に合わない」という緊張感ではなく「まー何とかなるだろ」というような態度であるが、それでも「…トルコ → インド → ヒマラヤ越えて（どうやって？）中国 → 一気に太平洋を渡って（日本はスルーかよ！）アメリカ…」などという描写のスピードアップの結果、ちゃんと帳尻は合っているので、「遅れを挽回する」というワクワク感もない。というより、こんなどんぶり勘定でいいのか？

それでもアクションのおかげで（とは言え最高のアクションとも呼べないが）それなりに退屈はしない。ので、まあ、★3でもいいかな。

そうそう、女王役はやっぱりジュディ・デンチに演ってほしかったね。