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[コメント] 落下の解剖学(2023/仏)

落下の解剖学というかは、
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







夫婦喧嘩の解剖学というか。面白かったのは、この夫婦の喧嘩のシーンで、口論していくうちに夫と妻のイライラの核心が解剖されていくところ。作家ならではの「書けない苦悩」や相手の成功への嫉妬あたりが一般的に理解しやすい理由ってことになるだろうが、実際はもっと、作家的な創作への向き合い方や道徳観への嫌悪みたいなことが根底にあるような感じ。つまり巷間で真相とか真実なんて言われていることは、平均的に納得できることでしかなくて、本当のことではない場合がほとんどなのだろうな、と思った。

物語自体はどうってことのない話で、「小説で書かれた実在の人物をモデルにした登場人物の心情と、実在の人物のそれとを同一視してはいけない」みたいなくだりもびっくりするくらい凡庸。それでもこの作品が面白く思えたのは、妻役、夫役、妻の友人の弁護士役などの俳優陣のキャラ造形あってのことだったように思う。とりわけバイセクシャルの妻の淫乱の危うさ加減と、彼女に気があってそのことを隠そうともしないが実際には性的な行動にいたらない弁護士の距離感の絶妙さは出色の出来。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)けにろん[*] ぽんしゅう[*]

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