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[コメント] ザ・エージェント(1996/米)

この映画『Jerry Maguire』、"trust"、この一言に尽きる。【蛇足:「ザ/ジ表記」について】→
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**ネタバレ注意**
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有名な "Show me the money!" シーンは、CMで散々見せつけられたこともあって、ウザいというか、見てるこっちが気恥ずかしかった。あれより、契約を取った帰りの車の中でカーステレオから流れる曲 "Angel of The Morning" → "Free Fallin'" に口ずさむシーンが、サイマフ的にはお気に入り。だって、 "Free Fallin'" だよ!その後を暗示してて、その洒落た演出最高やん。他にも音楽のセンス、さすが『ペニー・レインとあの頃』。

本題に戻して、ザ・ミゼラブル氏と同じく、僕も★3か★4か物凄く迷ったが、よく考えてみれば、この作品、他のよくあるサクセス・ストーリーと比較して、ひとつ大きく違う点があると閃いた!って大袈裟なこともないが。

それが冒頭のコメントなんだが、この作品の一番大切なテーマは「trust=信頼」なんだよな。「成功」という<コトガラ>じゃなくって、その奥と上にある「信頼」という精神性。

そういう点で、ジェリー・マグワイアだけじゃなくキャメロン・クロウ監督、ひいては映画そのものが、実直で、青臭くて、とても不器用なんじゃないかな (あっ、モチロン、レニー・セルウィガーもね)。だからこそ、タイトルが『Jerry Maguire』(原題) そのもの、その人の人生、ちゅーか生き方そのものなんだろう。しかも、Will Hunting (『グッド・ウィル・ハンティング』) みたく何か含意めいた名前じゃなくって、素でJerry Maguire、「誰それ?」って感じの。そういう意味じゃ、邦題の『ザ・エージェント』(*追記参照)はわかってないな、と思う。肩書じゃないんだよ。

だから、ラストも、爽快感だけじゃなくって、何か胸にじんわりと響いてくる余韻があるんじゃないかなあ。ジェリーのこれからの人生に思いを巡らせられる、その余韻。なんだかうまく言えないけど、トム・クルーズ主演にもかかわらず、とってつけたような映画フィクション的な「華」はなくっても、「人間」そして「生きていくこと(現在進行形)」を真摯に見つめ、描き出すこの作品を、僕はやっぱり好きにならずにはいられない。

*追記:「論争」ってことのもんじゃないッスけど……。

しばしば話題になる「ザ」表記ですが、これは、音声表記そのままではない日本語の文字特性でしょう。例えば、「ええが」と発音するのに「えいが」と表記するなど、長音また撥音などはほとんど実際の発音と異なる文字表記です。更に屁理屈を言えば、"the"だって、「ザ」であっても「ジ」であっても、表記は"the"なワケですから、日本語表記もそれに従ったとしても何らおかしくはないというのが、サイマフの見解であります。それに大体「ジ」じゃないもんなあ。

それよりやっぱり、複数形の"s"を落とすの気になる今日この頃。

(評価:★4)

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