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[コメント] 真夜中のカーボーイ(1969/米)

彼の抱く夢が理解できないため、現実の中で調整を図る物語、ではなく、頑張りが足りないように見え。そのヌルさに意義があったのかなと。
G31

 例えば彼が最初にNYで「自由の女神は何処ですか」とおばさんに尋ねるシーン。おばさんは一瞬ぎょっとしたのち、「ああ、私の思い違いね」とか言って素直に場所を教えてあげようとする。つまり、NYでは、そんな質問で女に近づいてくるのはナンパであると理解されるのだが、彼があんまり純朴ないでたちであったため、おばさんの方で思い込みを恥じたといった風情。(その後は、やはりナンパであったと分かって、怒って去っていく)

 この描き方は彼の抱く幻想に対してあまりに優しすぎると思った。私の感覚では、都会ってのは他人の思いに対してもっと冷淡である。多種多様な人間が住んでいるため、人々が幻想を共有するってことは少ない。そこが逆に都会の魅力でもあるが。私が演出家だったら、何かの勧誘かとでも思って相手にもせず通り過ぎていく人たちを多く登場させ、その中に、彼の目的などまったく意に介さず、素直に道を教えてあげるおばさんを登場させたと思う。(で、実際自由の女神に行かせてしまうとか)

 つまり、都会に対して勝手な幻想を抱くってのは別にいいとして、夢の破れ方まで勝手に幻想している気がする。そんな映画ってありか?と。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)モノリス砥石[*] けにろん[*]

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