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[コメント] 殺人遊戯(1978/日)

「松田優作的格好よさ」って直接影響を受けた記憶はないけど、いま見るとなんかノスタルジーを感じるね。
G31

 基本的にハードボイルド(的なカッコよさも別口で持っているのだろうが)ではなく、タイトルに遊戯とあるように(かどうか知らんが)お巫山戯であって、例えばバーでホステスと話し込んでいると、サンピンが近づいてきて「てめえ、俺のスケに気安く話しかけんじゃねえ」と絡んでくる。と、優作はスクッと立ち上がるので一瞬場に緊張が走るのだが、ボソッと「すいません」とほざいて立ち去る、みたいな外し方。その場にいる人間たちに売り言葉/買い言葉的に反応するのではなく、その場にはいない(ことになっている)「誰か」の視線を突然意識して見せるというような「抜き」方。修羅場で急に丁寧なデスマス調で話してみたり、とかね。この「視線」はカメラの視線とも重なるわけなんだけど、こういう極私的な小さな世界で唐突に「公」を意識させるカッコよさって、確かに昔憧れたなあ、と。子供の頃に直接これを観て影響を受けた、という記憶はないから、こういうカッコよさを模倣した作品群に影響を受けた、ということなのかどうか。ただし、例えば今の役者が今の映画でこういう役どころを演じてみたとしても、その場にいる人間を通り越してカメラを意識する、という構図自体に手垢のついた馬鹿馬鹿しさを感じるだけだろう。そういう意味で、ノスタルジーを感じるカッコよさ、である。

75/100(05/02/08記)

(評価:★3)

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