[コメント] 活きる(1994/香港=中国)
映画を見終った人むけのレビューです。
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40年代・50年代・60年代・その後
この時代配分でいくと、確かに「その後」の時代は、文化大革命が混沌としたまま終結を迎え、毛主席が死去し、敵国アメリカと国交を結び、文革中に失脚していた指導者達が社会復帰を遂げ、急速に社会主義の中での自由経済というものを取り入れる政策をとるわけだ(あくまで都市部ですが)。結果、この映画の主人公2人は(多分)70年代は何事も事件は起きないと思われる。唯一平和な時間ともいえるだろう。で、ここで「よく活き抜いたねぇ」と「これからは何事も無く幸せに暮らしたいねぇ」、というハッピーエンドなわけだ。ドラマ的にはここで終えるのがベストではあるかな。
でも、とことん中国の現代史を1家庭の視点で捉えるって事に執着するならば、問題は更にその後、つまり80年代にやってくる。
彼らの唯一の活き続ける希望は大事な大事な孫の存在だ。あの子は文革中に生まれた訳で、つまりはあの子はオレと同じ歳ぐらい。まあ、ここまで引っ張れば皆さんもう気づいてるでしょうけど、ちょうど89年の天安門事件の頃に学生真っ只中な子なわけだね。この現代中国で最も最近に起きた共産党政府の失態を最後の最後に持ってきてこそ「激動の中国現代史」を映し出す大河ドラマだとは思うんだけど、さすがのチャン・イーモウも当時では(事件後、3〜4年か?)そこまで切り込んで映像化する事には躊躇いがあったか。あるいは、作ったけど「これは作家生命どころか生命を絶たれるな」と判断したのか。確かに「それ」を撮るのは余りにも危険な賭けではあると自分も思う。2年程度の製作禁止で済んだのだから良かったというべきか、ナンと言っていいものやら。
10年後(つまり今年か来年?)、『活きる・その後の後』を撮る計画があったりしてな。………多分、まだ、ちょっとマズイぞ、チャン・イーモウ。
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