確かに良く出来た話だ。伏線の張り方も見事だし、ラストにも泣かされた。……しかし、これが「クレヨンしんちゃん」である必然性は……？　野原一家をここまで傍観者にしてしまっていいのだろうか。面白かった頃の劇場版ドラえもんは、あくまで彼らが主軸だったぞ。

　真摯なストーリー作りには非常に好感が持てるのだけども、野原一家にクライマックス以外ほとんど活躍の場も与えられず、単なる狂言回し扱いにされているのはちょっと可哀想。あくまで「クレしん」というお題目を掲げるのであれば、「クレしん」ならではのパワーで戦国モノのお約束ごとを破壊するくらいのことはやって欲しかったところだ。