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[コメント] ターミネーター(1984/米)

本作の大ヒットで山ほど亜流作品が作られましたが、やはりこの二人の組み合わせなしでは、魅力は出せません。本作が唯一無二の作品でしょう。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 本作は監督のキャメロン、俳優のシュワルツェネッガー二人にとっての出世作であり、この作品を契機に二人は大きく躍進した(もう一人特撮のスタン=ウィンストンの名を飛躍的に高めることにもなったが)。

 実際、どこからどう見てもB級作品でしかないのだが、それをここまでのヒットに押し上げたのはこの二人の力量を存分に引き出した事による。

 そもそもキャメロンはホラー畑出身だが、彼が求めていたのは、おそらく本格的なSFだったのだと思われる。それでいくら安価に上げようとしても、カメラアングルだけはいくらでも凝ることが出来る。そのたった一つの強味を存分に生かし切った。特にここでのカメラの手法はまさにホラーながら、不気味さを“怖さ”ではなく“強さ”へと見事に転換させていた。

 そしてそのキャメロンの演出に見事に応えたシュワルツェネッガー。この人は本来とても陽気な人物だそうだが、当時はオーストラリア訛りが激しいため、台詞が少ない役を選んだとのことだが(脚本には何と16行だけしかなかったという)、このはまり方は尋常でなかった。台詞を喋らない分、立ち居振る舞いだけで存在感をアピールし、しかもそれが一々堂にはまってる。その役のはまり方はいくらでも言えるが、ここでは目の動きを挙げておきたい。本作ではほとんどの場面でサングラスをかけているため、あまり目が見えないけど、時折見せる目つきの良さは特筆すべき。特に周囲を見渡す時の目つきが良い。横を見る時、顔を全く動かさず、一旦目だけを動かして横を見て、それで追い切れないとなって、ようやく顔を動かす。ほんの僅かな顔の動きだけど、これがとても非人間的に見えてしまう。更にその特徴的な目の動きは、目玉を失っても健在。いや、片目を失うことで、かえって機械っぽさは増していたので、これは大成功だろう。最後まで人間と機械の融合体としての違和感を保ち続けていた。

 なんでも、当初シュワルツェネッガーはカイル役で、ターミネーター役にはランス=ヘンリクセンの予定だったが、シュワルツェネッガーは自分から悪役をやりたいと立候補したとのこと。

 ちなみに本作で使用された費用は僅か650万ドル(ターミネーター2では8500万ドルに跳ね上がる)。それに対し興行収入は8000万ドルをたたき出す。

(評価:★4)

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