[コメント] ムーラン・ルージュ(2001/豪=米)
「神様、映画を作らせてくれてありがと〜〜〜〜〜〜!」
そんなバズ・ラーマンの絶叫に満ちた作品。
自分の頭の中にワラワラワラワラとわいてきた風景やら妄想やら願望やらを完璧に観客の前に見せることができるのはまさに表現の「力」。 このような力を持った人間に環境とチャンスを与えた天に我々も感謝すべきだろう。
「19世紀末の終わりを舞台に、20世紀のヒット曲の数々を使って…」これ自体大したアイディアじゃない。ヘタすると陳腐だ。 それよりもそれらの楽曲が、ラーマンの閉じた世界観の中で完璧に必然性を持って流れてくるからスゴイのだ。 TVのコメンテーターたちの「そのミスマッチがピッタリはまって」などというトピック的な賛辞はあまりにも無力だ。「見ないとわかりません」とだけ言ってくれりゃそれでいいのに。
「鮮やかな色彩が…」などと説明してもしょうがない。自分の好きな色をたくさん選んで画面にあふれさせることなんて誰でもできる。この映画のスゴイところは、画面の調和を乱す色が一色も画面の中に登場しないことなのだ。色を扱う仕事や趣味に関わったことのある方なら、それがどれくらい難しいことか分かるはずだ。
監督があらかじめ思い描いたイメージが映像にどこまで忠実に再現されているか、ということをもって「完成度」と呼ぶのであれば、この映画の完成度はパーフェクトに近いのではないかと思う(あまりに不毛な考察であることは百も承知です)。
この映画全体が、バズ・ラーマンによる人生の「歓びの歌」に思えた。 俳優、衣裳、美術、CG、音楽をやりたい放題使ってイメージを具現化できることに対する感謝のおたけびが、舞台のオープニングのシーンで聞こえてきた。
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