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[コメント] 吸血鬼(1932/独=仏)

影が見事に利用される奇妙な世界観は、まさに気味の悪い幻想だ。ストーリー云々よりも、ビジュアルがあまりに鮮烈だ。
Keita

 カール・ドライヤーにとって初の音声映画だが、映像主体で展開され、演出は無声映画的である。影の使い方によって、序盤から奇妙な雰囲気を作っていく。そして、その奇妙な雰囲気は最後まで途切れることなく映画を覆っている。

 奇妙な雰囲気ばかりが印象に残り、吸血鬼退治のシナリオはあまり印象に残らない。しかし、この映画は、夜も昼間と見分けが付かないほど、白を基調として作られており、それが白昼夢や幻想のイメージにぴったりはまる。そういった白昼夢や幻想の類は、ストーリーではなく、強烈な印象が脳裏にこびりつくものだ。この映画も、それと同じ効果がしっかり表れている。

 ドラキュラが実際に登場することはなくても、しっかりと吸血鬼映画として成り立ち、怪奇的な恐怖を味わうことができる。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)わっこ[*] ジェリー t3b[*] 死ぬまでシネマ[*]

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