[コメント] 女囚701号 さそり(1972/日)
松島ナミ−梶芽衣子と、彼女を慕っている木田−渡辺やよいが一緒に逃げる。看守たちとの追いかけ合い。緑の草が美しい。もうこの時点(アバンタイトル)からズームの嵐でゲンナリするが、色遣いと様式的演出には目を瞠る。
青い囚人服とオレンジの囚人服の女囚がいる。オレンジは5人。班長格ということか。横山リエ、三原葉子、三戸部スエ、あと国景子、織田英子がオレンジ。青側で目立つのは、梶と渡辺以外だとリーダ的な根岸明美、一匹狼の扇ひろ子ぐらい。
冒頭で脱走を図った梶−ナミと渡辺は地下の独房に入れられるが、このシーンの光がいい。梶の隣の部屋にいる渡辺は、この時点で形のいい乳房が見えている。三戸部スエが配膳係りで梶はイジメられるが、こゝでフラッシュバックが入って、夏八木勲が白いシーツの中の梶を転がすイメージが繋がれるのも良い繋ぎだ。背景色は青。このフラッシュバックは、様式的というか演劇的処理で場面転換され、梶が男たちからレイプされるシーンは、ガラスの床下から撮られたショットだ。梶は、夏八木刑事の手先となったがハメられたのだ。黒幕の社長役で伊達三郎が良い役をやっているのも嬉しくなる。そして警察署前で梶が大暴れするシーンには驚愕する。梶は既にレイプシーンで胸を見せているが、モブの警官たちに取り囲まれる中でも胸を露出している。多分、日中のロケ撮影だと思われるので、今では考えられない演出じゃないだろうか。
看守の配役も書いておこう。渡辺所長の配下には、看守長で室田日出男、その他に沼田曜一もオーバーアクトで期待に応える。髭とサングラスの堀田真二も目立っている。チョイ役だが、終盤の女囚たちの暴動場面でレイプされる看守には、小林稔侍とたこ八郎がいる。
本作の見どころは(今見ると二番煎じの感覚もあるが)、伊藤俊也の才気走った演出と共に、多くの女囚たちがヌードを披露するサービスシーンにあると云ってもいいと思うが、敬意を表して、有名女優のヌードシーンを記載しておこう。まず、三原葉子。悪役である彼女は、シャワールームの場面で、鬼の形相になって上半身裸で暴れ回る。続いて、ほゞワンシーンだけの出番だが、特房に入れられた梶に迫る新人女囚(実は刑務官)の片山由美子。彼女には梶とのセックスシーンがあり、職務を忘れて梶にメロメロになってしまうという役割り。そして、女囚たちの中では一番の悪役が、横山リエだ。この人も、シャワーシーンで一瞬胸が映るけれど、終盤では、女囚たちから囚人服をはぎ取られる。そして、書くのを最後に取っておいたが、本作の見どころということで私が一番だと思うのは、何と云っても梶芽衣子の美しさだろう。もう一人だけ顔面のクォリティが違うのだ。多分一度も笑顔を見せる場面のない映画だが、苦痛に苛まれている時であろうと、怒りの表情であろうと、常に気品のある美しさを保っている。これも画面造型という意味で、演出の仕事だと思う。
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