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[コメント] 四十挺の拳銃(1957/米)

傑作。聞きしに勝る素晴らしいオープニング。大俯瞰の馬車。右手に雲の影。馬車を御するのは主人公バリー・サリヴァン。停止する馬車の前から40頭の騎馬が走り抜けていく。一番前は女主人のバーバラ・スタンウィックだ。何が良いって馬車の馬の驚いて慌てる様がいい。ここまでがアヴァン・タイトル。
ゑぎ

 続くクレジットタイトル開けの町の描写もこんなの他では見たことない、という面白い西部の風景でしかもミュージカル処理なのだ。以降も突出したシーンの連続だ。スタンウィックの弟ジョン・エリクソンと主人公サリヴァンが最初に対決するシーンのサリヴァンの歩き方。「あの歩き方は奴だ」っていうのは『ペイル・ライダー』のようだ。またこのシーンの目のエクストリーム・クローズアップは全くフラーらしい。ディーン・ジャガーが登場後、3兄弟と会話しながら町を歩くシーケンスショットも息を呑むようなカットだ。或いは銃店のシーンで007のオープニングのような銃口の中からのカットがあったり、スタンウィックの屋敷で長テーブルに座って食事をするシーンのスタンウィックの仰角カットはまるで『博士の異常な愛情』のスターリング・ヘイドンみたいだったりと才気走ったカットが随所にある。竜巻のシーンだって今見ると何が映っているのかよく分らない特撮だが凄まじい迫力ということでは充分成功している。そして極めつけは埋葬シーンのシーケンス・ショット。こゝもミュージカル処理で情感たっぷりだが尚且つ見事にフォトジェニックなショットだ。このフラーには全編に亘ってタランティーノばりの遊びの精神と先進性を感じる。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)袋のうさぎ 3819695[*]

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