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[コメント] シックス・デイ(2000/米)

高をくくっていたら意外な掘り出し物。クローンものとしても強引ではあるが理に適っている作品は珍しい。(他のコメント/レビューを見て、更にレビュー追記)
BRAVO30000W!

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







シュワちゃん主演ということで軽視してました。ごめんなさい。

従来のクローンものでいつも不思議だったのは「何でクローン人間がクローンの元の人間と同じ歳で同じ記憶を持っているんだ」というところ。そこらへんの説明が今まで十分になされたものはあまり思いつかない。 だが、この作品に関して言えば、強引ではあるが「何故大人のクローンができるのか」「何故クローンは元の記憶を保持しているのか」という説明がされているだけ素晴らしい。

また、未来生活予測映画としても出色のでき。 やはりシュワルツェネッガー主演の『トータル・リコール』の未来図なんて酷いものだった。それのリターン・マッチかと思わせるほど、かなりギミックに凝っている。 それも『ブレードランナー』のように「そんな技術は二百年後のものじゃないのか」というような現実離れしたモノでもなく、技術的な実現可能性に裏打ちされたものが多く、好感が持てる。

お話のネタというかオチみたいなものは、既に予告編が上映された時点でバレバレなのでどうでも良いのだが、それでもこの作品はもっと高い評価を受けて然るべき作品のような気がする。 不可避の未来問題を真摯に取り扱った娯楽作品というのも珍しいと思う。

結末がひさびさに観客に考えさせる作りになっていて、これも好感度大。単なる垂れ流しでなく、観た人に問題意識を自然と持たせようとしているところは、下手な説教映画より数倍マシだろう。

※他の方々のコメントなどを見て:

「クローンが簡単に」というような表現をされている方がいたが、実際映画だから簡単にかっとばしているのはよくある手法。ポイントは今までクローンを扱っている映画が“もっと簡単に”クローンを作っていたのに対し、この作品はそれなりに尤もらしい解釈を付け加えている。あくまで仮想未来の話なので現実的なテクノロジーに裏打ちされた設定かと言えば完全にYESとは言えないが、それでもかなりよくできた設定であると個人的には思っています。

「記憶だけでクローンは成立するか」というようなコメントを書かれていた方がいらっしゃいますが、脳死を死と認める国が作った作品であるという前提を先ずはお考え頂きたい。いや、別に考えなくても良いけど。極論を言えば「成立する」とも「成立しない」ともどちらとも言い切れないわけで、そういう点からは「成立しない」説だけを押し出しているのは如何なものかと思いまして、レビューに加筆いたしました。

実際「記憶」の世界と言うのは、顕在意識と潜在意識の両方があり、更に細胞体の構造と、情報を伝達するルート、情報の電子化プロセスなどはクローンの“肉体”の方で補うのがSFでなく現実でも目指している技術の延長線上にあるわけですから、あながち「非現実的」と括るのも早計かなと思いますよ。

私自身、結構いい加減な設定でも楽しければそれで良いのですが、この作品は予想以上に現実的なテクノロジー要素を巧く使っているように見えたので、評価を高くしたというわけです。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (6 人)サイモン64[*] けにろん[*] おーい粗茶[*] Orpheus プロキオン14[*] 風上雪乃[*]

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