[コメント] 独立少年合唱団(2000/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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僻地のお台場まで観に行ったのは、自分も昔グリークラブで歌っていたことがあり、それで男声合唱がどのように描き出されているか興味があったから。(自分の高校はプロテスタント系男子校、パートはトップテノールでした。)
山間の、俗世間とは隔絶された環境での少年達の心理劇。少年期にありそうな色んなエッセンスが盛り込んではあるが、どれも中途半端だと思う。まず道夫少年(伊藤淳史*1)に康夫少年(藤間宇宙*2)が何故好意を寄せるのかよく分からない。学生闘士崩れの教師(香川照之)やそれを頼りに流れてくる女闘士(滝沢涼子)の存在など、70年代初頭という時代背景の中で話は語られていくが、それもやはり何の為なのか判然としない。役者の(とくに大人達の)好演は印象に残るけれど、ドラマとして全体と細部の緊張関係が希薄で(こちらが感じ取れなかったというだけかもしれないが)、よくある思春期の少年達の心理劇、そのフンイキだけが印象づけられる映画になってしまっていると思う。“合唱”というモチーフはもっと美しく活かしてほしかった。(暗譜をしない。指揮をみない。吹き替えでないところがあまりに下手過ぎ。合唱は歌う瞬間にバリッとひとつになるから気持ちいい、格好いいのに、これでは台無しかと思われる。またマラソンやうさぎ跳びは何の為にやっているのか分からない。)
如何にも「日本映画」というカンジの画面の暗さは、少年期の「死」の質感を滲ませたかったのか。あるいは、光り輝くウソ臭い郷愁の中で過去を描くことを避けたかったのか。
1)チビノリダーをやっていた子らしい。
2)松田龍平チックな美少年(「松田龍平チックな」にアクセントを置く可)。記号としての「美少年」。このテの個性的な顔は映画向きだと思う。
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