[コメント] 軽蔑(1963/仏)
失恋したゴダールの心情を投影した私小説的傑作。うざったい引用も少なくて安心。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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普段なら裏目に出ることも少なくないゴダールのハッタリ演出が、本作では全て効果的に作用しており、揺れ動く恋愛感情の機微を見事に表現できていると思う。
赤・青に切り替わるピロウトーク、4カ国語が飛び交う映写室(円盤投げには笑った)、自宅での一連の会話(映画史に残る詩的で美しいモンタージュ!)、劇場の暗闇で浮かび上がるブリジット・バルドーの顔、カプリ島・マラパルテ邸の絶景、遠ざかる船を写した「決定的瞬間」などなど、冒頭からラストまでどの場面も映画的強度に満ちており素晴らしい。
また、イタリアの風光明媚をしっかりと捉えたクタールの撮影、ミニマルなメロディが胸を打つドルリューの音楽(ちょっとマーラーのアダージェットを想起させます。)もそれぞれ会心の出来で、作品の完成度に貢献している。
出演者ではフリッツ・ラング(本人役)が胡散臭い雰囲気を半端なく出してて面白い。名監督である彼の遺作が、本作の劇中劇「オデュッセイア」になったという事実も感慨深い。BBは黒髪ショートの時(カリーナそっくり!)の方が好み。
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