[コメント] 軽蔑(1963/仏)
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果たして最初の車で2人に何が(か)起きたのか。夫はそれを承知の上だったのか。謎のままに終わらせようとしているような感じもするけれど、島で夫が二度目に妻をプロデューサーと二人きりにしようとした時の目のアップと声の調子で、私はさすがに「これはもう確信犯だな〜」と思いました。あの後のボートが去ってゆく海のカットで終わってもよかったくらい。
もちろん最初の時の自動車事故の話も嘘八百。「秘書のせいか?」なんて何度も訊ねるのも変で、わざとらしすぎる。その秘書の髪にも、親しげにべたべた触ってたし。普通に考えたらどうあってもプロデューサーとの何かでしょう?わざととぼけているとしか思えマセン。押したり引いたりしながら、妻をいいように説得するお手並みも見事。でも折角妻の肉体を献上してまで旨くやろうとした仕事も、プロデューサーの事故死でパア。そう言う話かと。
途中妻は夫を「愛してない」のではなく「怒っていた」のだ。自分の(美しい)肉体が彼の仕事に利用されているのではないかと不安で、怖くてそれさえ確かめられなかったのだ。多分。
でもまた観たら体調や気分で別の解釈に見えるかも。そんな万華鏡映画。
愛する人に対する不安が転じて怒りとなって、取り付く島もなくなった女性の、 「どないせーちゅうんじゃ」と思わせながらもかわいらしい雰囲気を、バルドーを使った演出で、とても良く表していると思いました。
ところで、テクニカラーで、おそらくはシネマスコープの、ラング監督の「ユリシーズ」なんて、観てみたいですね。
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