[コメント] ジョニーは戦場へ行った(1971/米)
総てから隔絶された主人公は、妄想の中にのみ擬似現実を見い出す。父、義父、婚約者、会社の上役、キリスト…。彼らは妄想の中でこそ生き生きとしているが、決して彼に何事もしてくれはしない。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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これは最初に舞台劇ありきの映画なのだろうか?自分の印象ではこのまま舞台に持ってゆけそうに思えるのだが。
反戦劇なのだろうが、むしろ名もなく、何も世界に訴えかけることもできず死んでゆく若者たちへの鎮魂歌であるように自分には映った。そして衝撃的だったのは、完全ネタバレ状態で観たつもりだったにもかかわらず、自分が聞いていた結末とは違う終わり方をしたということだ。
「彼は看護婦の同情によって命を繋ぐコードを切断され、安らぎのうちに死んでゆく」
だが、この作品はそうはならなかった。看護婦は小さな背任を咎められ、再び主人公は暗黒地獄の中へ突き落とされてゆく。
ところで原題は「アニーよ銃をとれ」のパロディとしての「ジョニーは銃をとった」だったのだね。あの能天気なウエスタン・コメディからの発展形である悲劇であることに、むしろ悲しみは倍化される。やはり観ておいてよかった。伝説の名作として軽く受け流してしまうには、あまりにも重い青春挽歌であった。
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