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[コメント] 吸血鬼ドラキュラ(1958/英)

ドラキュラ映画の基本にして、最高作品。本当に格好良い。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ハマーフィルムによる一連の吸血鬼作品の第一作。白黒フィルムにおいては既にマックス=シュレック主演の『吸血鬼ノスフェラトゥ』、ベラ=ルゴシ主演で『魔人ドラキュラ』が作られていたが、カラーではこれが最初。

 大ヒットを飛ばした『魔人ドラキュラ』と差別化を図るためか、原作を大幅に改竄したのが特徴で、冒頭のハーカーが既にドラキュラ伯爵を吸血鬼であることを知っていて、彼を殺すためにこそ派遣されたことになっていて、しかも任務に失敗し、あっさりと殺されてしまっている。しかも彼の婚約者ルーシーに至ってはドラキュラによって血が吸い尽くされ、女吸血鬼にされてしまっている。

 この大胆な改竄は、ドラキュラ役のクリストファー=リー、ヘルシング教授役のピーター=カッシングの対決を主眼に置いたからに他ならない。そしてなんと言っても彼らの対決は素晴らしい。

 最初のドラキュラの登場シーンは逆光気味に、その存在感を遺憾なく発揮し、颯爽とマントをひるがえして犠牲者に襲いかかる様は文句なく格好良い。オーバーアクション気味な動きも、上手くリーのキャラクターを映えさせている。それに対するヘルシング教授も、存在感においてはドラキュラに一歩も引けを取っていない。研究に没頭し、冷静に物事を判断するが、必要とあらば、アクションもこなす。まさにドラキュラの敵役として適役。特に最後の、ヘルシング教授が二本の燭台を十字に持ち、ドラキュラに迫っていく姿はまさしく名場面。

 ここでのクリストファー=リーは、本当に格好良かった。だが、あまりに格好良過ぎたため、結局彼は以降、ドラキュラ役か、それに似た役しか回ってこないようになってしまったと言うのは、彼にとってはやや不幸な話ではあったが…  ちなみにハマーフィルム製で、クリストファー=リーピーター=カッシングの二人を配したドラキュラ作品は、以降『吸血鬼ドラキュラの花嫁』、『凶人ドラキュラ』、『帰ってきたドラキュラ』、『ドラキュラ血の味』、『ドラキュラ復活』、『ドラキュラ72』、『新ドラキュラ・悪魔の儀式』と続く人気シリーズとなった。

(評価:★4)

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