[コメント] ルパン三世 ルパンVS複製人間(1978/日)
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↑などとマモーにツッコミをいれつつ、すっげー久しぶりに観て評価上がる(平成14年2月22日テレビ放映)。 若い頃はこの荒唐無稽さが好きではなかったのだが、今観ると「ああ、大和屋竺だなあ」という感じも楽しかったりする。
で、その不二子だがこの映画ではヒロインではあるもののあくまで脇役(「カリオストロ」では特別出演?)。ストーリーの展開には関わる存在だが、「カリオストロ」のクラリスのように物語・テーマの根幹に関わる存在ではない。 いわば、クラリスは主演女優賞候補でこの映画の不二子は助演女優賞候補なのだ。この映画における「女性」は添え物にすぎない。
これはハードボイルドの定義に関わる。そこに描かれるのはダンディズムであり男の美学である。誤解されがちだが、完璧にカッコイイ男がハードボイルドではない。ダメで弱くてカッコ悪い事もたくさんあって、時には女性に対して弱みを見せたり『カサブランカ』のボギーのようにメソメソしたり、そういう部分を全部ひっくるめてカッコイイ男の世界なのである。そこに出てくる「女性」は常に添え物でしかない。 『用心棒』『椿三十郎』しかり(実は多くの黒澤映画が女性不在だが。それ故黒澤は女が描けないとも言われる)。その背景世界もが類似する『うる星やつら ビューティフル・ドリーマー』でも「女を追う男」と「女に追われる男」という違いがあるにせよ、諸星あたるなりのダンディズムに貫かれている。
女性に対してストイックなわけでも、物分かりのいい「おじさま」であってもいけない。 「お姫様を助ける」ためでなく「己の夢を取り戻す」ために戦う。ハードボイルドとは、派手な見た目でなくその心意気なのだ。 エコー入りの過剰演出で「行くな!」と呼び止める次元とのやりとりなどは、映画史上屈指のダンディズムの固まりみたいな名シーンだと思う。
つまり、こういう部分が本来あるべき(あるいは古くから知る者が理想とする)“ルパン”の姿であり、その欲求を最も満たしてくれる「ハードボイルド・ルパン映画の最高峰」という点においては大勢のコメントと同意見である。だが、映画そのもの完成度は「カリオストロの方が上」というのが正直な感想だ。
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