[コメント] さよなら子供たち(1987/独=仏)
名匠ルイ・マル監督の自伝的要素の濃い忘れがたい作品。描かれた少年達と同世代で作品を体験したので思う所も多くありました。子供達の無邪気な日常に忍び寄る戦争のもたらす残酷さ。目を反らしては行けない過去が、現実が、ここには在ります。
単純に反戦映画色を推し進めるのではなく、きちんと物語として描ききっているところにフランス人の、マル監督のセンスを感じる。貫かれるテーマは大きいけれど直接的ではなく子供達の仕草や視点を通して悲しみや憤りを描く演出は淡々としていながら胸を打つ。ガスパール・マネッスら子役の伸び伸びと演じる自然な物腰が時折、戦時下当時のフィルムを観ている気にさえ錯覚を起こす。映画界には『プライベート・ライアン』があり『シンドラーのリスト』があり、そしてこの『さよなら子供たち』がある。負の遺産しか生まない戦争を2度と繰り返しては行けない。理由なんていらない。この作品から少なくとも何かが心に響くはず。必見。
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