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[コメント] イレイザーヘッド(1977/米)

ああ、大失敗。夕飯食いながらこんなもん観っちまったよお。一体今、私の腹の中はどうなってるんだあ…あんまり考えたくない。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 監督のデヴィッド=リンチは「夢を見る天才」と呼ばれたりするが、これを観て良く分かる。彼は間違いなく、とびっきりの悪夢を見る天才だ。まさにこの作品、悪夢のような映像に満ちている。不快さの演出と言う点において、この作品に関してはとびっきりの冴えを見せている。

 基本的に音楽は用いず、言葉も少なめ。それをカバーするための効果音がとにかく不快さを増している。冒頭で登場する悪夢を見続ける男、血を流しながら悶えるチキン、夫婦でありながら会話も接触も無く、ただ冷たい沈黙があるだけの家庭生活。夢の中で見る蛇のような奇怪な生物を潰すシーン、やはり夢の中で自分の頭が落ち、それが文字通り消しゴム(イレーザー)となるシーン。そして不快さを否応なしに増し加える、自分が生ませたのではない(はずの)子供の泣き声。その子供の襁褓の中にあるもの…全ては悪夢そのもの。それを映像化してしまうとは、本当に凄まじい。

 様々な意味をこの作品から取る向きもあるだろうけど、基本的に、これは「悪夢そのもの」を映像化しようとした試みなんじゃないかな?決してホラーに分類されることは無いはずだが、下手なホラー作品よりよっぽど怖く、何より精神の方に激しい不快感を残してくれる。う〜ん。とにかくこれは好みだぞ(笑)。

(評価:★5)

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