主役がことごとく脇役に食われていた。

芸達者な方々を脇に据えた時点で，これは確信犯的なキャスティングなんだろう。

中でも“ペースメーカー”な食事シーンはお気に入り。いいですねぇ，エド・ハリス！（断じてイーストウッドではない）

で，肝心の中味なんだけれど―

粗の見える脚本でも，ハラハラドキドキが成立するならそれもまた良し。

しかし俳優の技量の前にすっかり埋没してしまうような本作の脚本では，サスペンスとしてはちょっと困る。

冒頭の乳繰り合いの不必要な長さはもっと困る。

そのくせ肝心要のところで加速度つけて収斂していく内容には，もはやどうしようもない困惑だけが残る。

演じる側の熟練を前に，こんなにも寸足らずな脚本ではお話をすっきり包み込むことなどできるはずもなし。

“超光速的”エンディングの被害，一身に受けたスコット・グレンの扱いに猛抗議いたす。