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[コメント] ゴジラ対メカゴジラ(1974/日)

「怪獣映画で下手な人間ドラマを見たくない。怪獣同士のどつき合いこそが見たいんだ」と言う人がいたら、一番にこれをお勧めします。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 全般的にこの作品は怪獣同士の戦いがメインなのだが、それら一つ一つに華(見所)があるために飽きさせない(冒頭部分のアンギラスの口を裂くゴジラ、ゴジラの放射能火炎によりメタリックボディを露わにするメカゴジラ、一度メカゴジラに敗北し、雷を浴びるゴジラの特訓シーン。メカゴジラのビームをはじき返すキングシーサー、兵器庫メカゴジラ、そして首を落とすというド派手なメカゴジラの最後)。それら一つ一つがちゃんと瞼に浮かんでくる)、ゴジラシリーズの他の諸作品とは違って下で行われている人間ドラマも結構しっかり作られている。予言の辺りは眉唾な感じがするが、キングシーサーを呼ぶ時の緊張感は子供心に手に汗を握る出来だった(今から思うと、あの時の唇はとても艶めかしく思う)。

 何と言っても本作品の売り。メカゴジラは圧倒的な強さを持ち、まさに兵器庫と言った風情。そこにふてぶてしい表情とも相まって非常に格好良い。何せゴジラの武器は口から吐く火炎だけ、対してメカゴジラは目から口から手から腹から足から武器が飛んでくる。華々しく登場したキングシーサーでさえ最後は手も足も出ず(ミサイルが身体に内蔵されているのは良いとして、一体あんな太い指がどこから出てくるのかは謎だ)。それこそ圧倒的な強さを強調していた。

 ゴジラに対してメカゴジラというのは、ある意味安直な転換に思えるが、ゴジラの強さを全て持ち、それにプラスアルファしての武装の数々を印象づけるにはうってつけだろう。

 そして、この作品は何と“根性もの”を怪獣映画に投入している。実は東宝は結構怪獣映画に根性路線を投入することが多いが、それが一番成功した例だろう。メカゴジラに一度破れ、ゴジラが雷を浴びることで怪獣磁石をあみ出す例のシーンは派手な音楽と相まって、子供心に圧倒的な印象を残すに至った。

 ちなみに本作が私が観た最初のゴジラ作品となる。そのお陰ですっかりゴジラにはまってしまったが、この作品を基準に他の作品を観るようになってしまった。初代『ゴジラ』を別格とすれば、最も好きなゴジラ作品である。2001年に金子修介が投入した傑作『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』も、この作品こそが源流だろう。(この2作がゴジラ映画では最高!)

(評価:★4)

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