コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 男はつらいよ フーテンの寅(1970/日)

森崎東版『男はつらいよ』は矢張りシリーズの中にあって違和感ありありの寅さんだ。「いくら可愛いくっても妹じゃしょうがねえや」という寅。白いマフラーを巻いている寅。旅館の番頭として「労働」する寅。いやそんなこと以上に、
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 森崎らしい画面の暴力性が山田洋次との相違を際立たせる。それは河原崎建三香山美子が絡んだシーンで顕著だ。そして寅が香山美子の父親、よいよいの花沢徳衛の前で仁義をきる場面が本作の最も良いシーンだが、このシーンの構図と照明による侠気の表現は山田洋次には無いものだ。或いは森崎は明らかにこのシーンを本作最大の見せ場として力をこめて演出しているのだが、山田洋次なら絶対にそんなことはしなかっただろう(つまり、さらったとした演出にとどめただろう)と思わせる。

 私が森崎ファンだからという訳ではなく、本作を単独で公平に見れば決して悪い出来ではないと思うのだが、寅さんファンとしては、さくら−倍賞千恵子の扱いが小さすぎるということも含めて、このいつもと違う『男はつらいよ』は少々寂しい。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (3 人)Myrath ナム太郎[*] ぽんしゅう[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。