[コメント] 男はつらいよ フーテンの寅(1970/日)
森崎東版『男はつらいよ』は矢張りシリーズの中にあって違和感ありありの寅さんだ。「いくら可愛いくっても妹じゃしょうがねえや」という寅。白いマフラーを巻いている寅。旅館の番頭として「労働」する寅。いやそんなこと以上に、
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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森崎らしい画面の暴力性が山田洋次との相違を際立たせる。それは河原崎建三と香山美子が絡んだシーンで顕著だ。そして寅が香山美子の父親、よいよいの花沢徳衛の前で仁義をきる場面が本作の最も良いシーンだが、このシーンの構図と照明による侠気の表現は山田洋次には無いものだ。或いは森崎は明らかにこのシーンを本作最大の見せ場として力をこめて演出しているのだが、山田洋次なら絶対にそんなことはしなかっただろう(つまり、さらったとした演出にとどめただろう)と思わせる。
私が森崎ファンだからという訳ではなく、本作を単独で公平に見れば決して悪い出来ではないと思うのだが、寅さんファンとしては、さくら−倍賞千恵子の扱いが小さすぎるということも含めて、このいつもと違う『男はつらいよ』は少々寂しい。
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