[コメント] 続・男はつらいよ(1969/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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現時点では私にとって『男はつらいよ』シリーズ中最も好きな作品。内容の密度が非常に高いものに仕上がっている。
身近な人の死を目の当たりにすることや、母親との葛藤、悲恋に終わる失恋…後々のシリーズとは違い、非常にウェットな作品でもあった。
この作品では寅さんのキャラクター描写がとても良い。家を飛び出して、自分が受け入れられないのではないかと思いこんで家に帰ることを本気で躊躇してる姿と言い、一旦受け入れられてしまうと、今度はやりたい放題やらかしてしまう姿…寅さんの心は身内とそうでない人という境界しかないんだろう。だからこっち側に来た人は無条件で信用するが、逆にそうなるとずかずかと相手の嫌がるところまで踏み込んでしまう。そしてやりすぎたことを反省するが、やっぱり同じ事を繰り返してしまう。そんな姿がたまらなく魅力として映る。
更にこの話だと、今まで行方不明だった母お菊(ミヤコ蝶々)と出会うのだが、思い出の中にあった優しい母親はそこにはおらず、銭勘定だけで生きていて、息子が来ても金のことしか口にしないような、そんな現実を見せつけられる。その時の複雑な寅さんの表情が又良い。泣き笑いになってる寅さんの顔って、本当に子供っぽい。ここにもぐっとくるものがあるよ。そして敬愛する先生の死と失恋…
しかし、どんなショックにもかかわらず、寅さんはたくましく生きてる。自らに課したフーテンと言う生き方しか出来ないことをよく知ってるんだ。
かなり救いようのない物語として終わると思うや、ラストで救いが…泣けたよ。
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