コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] にっぽん泥棒物語(1965/日)

前半から相変わらずのズーミング多用。しかし、公判シーンのズーミングとパンニングは、なんて説明的なんだろう。こゝまでの観客の視点強制は全く酷いと思う。しかしだ、いくつかのシーンはとても見応えがあるし、面白いのも確かなのだ。
ゑぎ

 まず、脇役は皆良く、登場順に云うと、芸者の市原悦子は矢張り存在感があるし、警部補・伊藤雄之助が出て来ると、彼の独壇場になる。そして、刑務所で出会う松川事件(本作中では杉山事件と呼ばれる)の容疑者・鈴木瑞穂がすこぶる面白い。また、後半の佐久間良子が、めっちゃ可愛い。『人生劇場 飛車角』や『五番町夕霧楼』 (共に1963年)よりも後だとはとても思えない。

 盗みの各場面も概ね良く出来ていて、三国連太郎江原真二郎が、山の上から田舎の屋敷を下見するカットなどはいい。あるいは、松川事件に遭遇するクダリ、夜の山の線路で、男達に会う場面は、得たいの知れない怖さの空気が上手く造型されている。

 と云うように、決してダメダメな映画ではないし、高く評価する向きがあることも理解するのだが、山本薩夫って、つくづく一貫性が無い演出家だという偏見が今回も強化された。カメラの振る舞いに慎ましさが欲しい。

#その他脇役等を備忘で記す。

 開巻シーンでの三国の子分は潮健児。盗品を買い取る男は吉田義夫。三国の母親は北林谷栄。妹が緑魔子。泥棒仲間に花沢徳衛。山間の建設現場の労働者仲間で山本麟一。彼の虫歯を治す。弁護士役で加藤嘉千葉真一。判事は永井智雄。検事の一人は加藤武

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)ぽんしゅう[*] けにろん[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。