[コメント] フォールガイ(2024/米)
ただし、ゴズリングがどうやっても死にそうにないというのは、スリルの減衰にはなる。純粋にアクションの強度、そのデザインのぶっ飛び具合がポイントになる、と云ってもいい。そういう意味で、清掃車を使ったシドニー市中でのカーアクションは、ぶっ飛んでいる。犬を絡ませるのもいい。オペラハウスの見える港での、ボートのアクションはワザとらしく感じ、アーロン・テイラー=ジョンソン−トム・ライダーの部屋における銃撃戦なんかは白けた。この部屋の場面では、序盤で唐突にテリーサ・パーマー−イギーが日本刀で襲いかかる部分は良かったと思う。ついでに云わせてもらうと、私はこのテリーサ・パーマーという女優のことを、とても期待しており、本作ではイマイチ中途半端な扱いでガッカリした。もう少しプロットに絡ませてほしかった(映画中映画「メタルストーム」撮影場面では、背景として結構映っているのに)。
気に入った部分をもう少し書いておくと、冒頭アバンタイトル(トレーラーハウスから出てきたゴズリングがトランシーバーでエミリー・ブラントと会話しながら、高所からのジャンプをリトライするまで)や、ゴズリングが駆けつけたシドニーの撮影現場で最初にブラントを見せる場面など、序盤のシーケンスショットの連打にはワクワクさせられた。また、この後すぐのゴズリングによるスタントシーンもよく見せる。ポスプロも済んだ、VFXで加工されたショットと、撮影風景のショットを上手く繋いでいる。8回転半のカースタント(世界記録らしい)。炎上しながら岩にぶち当たるショットの反復。そして、ゴズリングがクラブでシャーリー・テンプルというドリンクを飲まされた後の幻覚イメージの造型は面白かった。私はこゝが、全編で一番好きかも知れない。いつまでもいるユニコーン。
ヒロインのエミリー・ブラントについては、ビッグバジェットの映画製作を任された新人監督のテンパった状況を体全体で上手く表現していたと思う。場面によってはちょっと不細工に撮られていて、もっと綺麗に撮ってあげろよ、とも感じたが。それと、この人は、声と口調が可愛らしいと改めて思った。カラオケでのフィル・コリンズの(曲の)熱唱場面はギャグテイストか。あと、他の主要人物では、プロデューサー志望のアシスタントで犬を連れて登場する−ステファニー・シュウの扱いも中途半端(エンドロール後のオマケにまで登場するが)。対してプロデューサーのゲイル役−ハンナ・ワディンガムの存在感は特筆すべきだろう。この人、今後バケそうだ。
#備忘。犬の名前、ジャン・クロード。仏語しか解さない。
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