[コメント] NOPE/ノープ(2022/米)
まずは、風船、バルーン。膨らむ物。あるいはその破裂。バルーンかかし(エアダンサー)の絵面が好き。また、巻きつく物として、小旗のロープ、立入禁止のテープ、有刺鉄線。反射する物では、馬に鏡、フルフェイスのヘルメット。そして電気・電源のコントロールとバッテリー不要の人力(機械式)カメラ、井戸の中のポラロイド。あとカマキリが良かった。ちょっとご都合主義とも思うが。
主題的には、人種差別や動物虐待もあるが、でもそれ以上に、見世物(スペクタクル)、見ることと見られること、そして何よりも、撮影することの映画なのだ。ということもあり、ベタベタな映画愛、オマージュが多い。もっとも、オプラ・ウィンフリー・ショーへのリスペクト、オプラ・ショット!というジョークの繰り返しも興味深かった。
ちょっと肩透かし、という点もあげておこう。最初の空から何かが降ってくる場面が怖かったのだが、でもこれ、最初のシーンだけなのだ。小ちゃくて硬い物の落下攻撃の怖さが、以降無いというのは勿体ない。あと、これがちょっとワタクシ的には大きいのだが、飛行体の意匠が、いまいちスペクタクルでもなく、美醜としてもインパクトが薄いと感じられた。私は、すっげー!とはならなかった。もっと驚かして欲しかったと思う。
あとは、本作が西部劇として収束するのは嬉しい。終盤、OJ−ダニエル・カルーヤの部屋?に貼ってある、シドニー・ポワチエが監督した西部劇『ブラック・ライダー』のポスターが何度も映る。
#エメラルド−キキ・パーマーもブレイクしそうですね。バイクのドリフト停止ショットもいいが、ディオンヌ・ワーウィックの「ウォーク・オン・バイ」にのってダンスするシーンが素敵。
#『ブラック・ライダー』の原題は『BUCK AND THE PREACHER』なので、奇跡的に邦題が本作の内容とマッチしてしまったということです。
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