[コメント] DUNE/デューン 砂の惑星(2021/米)
実に見応えのある映画だ。圧倒的なビジュアルの力。それは、美術装置のデザインの力が大きいが、それ以上に、まずは、被写体としてのティモシー・シャラメをずっと見ていたいと思う。それぐらい魅了された。砂漠や海岸の広大なイメージと、巨大な飛行物の緩慢な動き。この緩慢さの威圧感が映画的だし、天井のある建物、洞窟といった装置が、圧迫感を醸成し、緊張を持続させる。
シーンで特筆すべきは、まず、教母=シャーロット・ランプリングとシャラメが二人きりになってからの、手の苦痛のシーン、こゝは何が行われているかよく分からないのだが、凄い緊張感なのだ。また、シャラメの母親=レベッカ・ファーガソンが、その能力を発揮(暴露)する演出もカッコいい。ジョシュ・ブローリンとジェイソン・モモアという二人の勇士の扱いも良く、医師役のチャン・チェンが重要な役割を担っているのも嬉しかった。また、悪役としてのステラン・スカルスガルド=ハルコンネン男爵のふざけた造型も出色の出来だと思う。あるいは、羽ばたき機(オーニソプター)が巨大な砂嵐へ突入する部分。翼が壊れていく飛行シーンのスリル。
ただし、シャラメの夢のイメージ挿入は多過ぎるように思う。それに夢の中のフレメン族の女、ゼンデイヤが思わせぶりなだけで、いまいち魅力に欠ける、と私は思う。ゼンデイヤおよびハビエル・バルデムの活躍はパート2のお楽しみ、ということなのだろう。
《以下、ネタバレ注意!》
終盤のフレメンの男ジャミスとの対決では、シャラメの夢のイメージを覆す。この展開の「ひねり」は、確かに、本作の満足感に繋がっているのだが、しかし、同時にこんな「ひねり」って、有りか(ずるくないか)?とも思ってしまう。夢によってジャミスの動きが予測可能だったのだ、ということかも知れないが、見ている際には、単純に夢はフェイクだったのか、と感じてしまった。「夢は現実になったり、ならなかったり」という伏線となる前半の科白も、周到と取るか、狡猾と取るか。あと、相変わらず音、音楽がうるさい。無音のシーンをもっと増やしていい。
#原作は未読。リンチ版は遠い昔に見ましたが、ほゞ忘失。
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