[コメント] 護られなかった者たちへ(2021/日)
難しい題材で、意志がなければ成立し得ない映画だ。その想いは評価に値する。☆3.8点。
連続殺人(それも一見猟奇的な)・刑事モノの展開を維持する上で、今回の話運びは已むを得ない所はあるだろうが、どうしても無理がある様に思うのも事実だ。犯行の向かう先が納得出来ない。
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この世に生まれて、ずっと思ってきた頃がある。人間は不平等だ。生存は厳しい競争だ。人間は我儘だ。しかし人間は他人の助けがなければ生きられないし、他人を思い遣る心がある。そしてそこにしか人の幸せは、無い。
日本の高度成長期に育ってきた。日本人は戦後復興・経済大国と言ったが、発展途上国等と表現された第三世界を踏み台にしているのは明らかだった。建築・製造業が頑張り、配送・物流が発達し、日本はどんどんと豊かになって行ったが、外の世界からの搾取には目を瞑り続けた。国内では男女差別を口にすれば煙たがれ、女は男に媚び続けていた。断層の上や海岸線に並ぶ原発の危険性はずっと訴えられていたが、現地住民はすぐに原発マネーから抜け出せなくなった。
震災から逃げる事が恐ろしくて何度か現地へ足を運びはしたが、どうしても問えなかった質問と、硬く閉ざされた心とで、深い断裂を感じた。我々は今も、誰かを踏み躙って、生きている。
時に足は止まるけれども、少しずつ、歩むしかない。
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