[コメント] ジョゼと虎と魚たち(2020/日)
原作を知っておれば、この型のやりとりの如きニコニコメロドラマは耐え難い。
田辺聖子の「ジョゼと虎と魚たち」を、キャワイイ女の子とキャッキャウフフの深夜アニメばかり観ている程度のアレなアニメファンに向けて「翻案」した映画だ。原作が当然のように踏み込んだ時としてグロテスクな人間の内面、といったものは何もない。セックスもない。原作でのセックスの後のジョゼのセリフを、キスの後に言わせている。ハッキリ言ってしょうもない。観客はバカにされているのだ。「ジョゼ」である必要を感じない。そんなんオリジナルのしょうもないアニメでええやんと思わされることだらけだ。アニメのジョゼには絵の才能がある。ハンサムには夢がある。夢に向かってアレしましょうという、たいへん子供っぽい、バカでも判る話になってる。これは実に安い「型」の作劇なんだよな。原作には夢なんぞない。ただ生きてることのとてつもない醍醐味、その断面があるだけだ。これ、そもそも企画がダメですよ。原作は、「現実の美化」とは最も遠い所にある文学だ。ところが近年のアニメーション映画の最優先機能が「現実の美化」なのだ。大阪のしみったれた街並みを、闇雲にキラキラさせてキレイキレイの無菌世界に仕立てて描いてる。オイちょっと前の新海アニメじゃねえんだよジョゼなんだよお聖さんなんだよ。あーもうこれは反省だな反省房です。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (2 人) | [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。